Artist:
ヘルマン・ニッチ展
ヘルマン・ニッチは、画家、作曲家、作家などとして活動し、1960年代より過激なパフォーマンスを始め、ウィーン・アクショニスムスを牽引する先鋭的アーティストとして注目されてきました。ニッチは、動物の死骸を切り開いて逆さに吊るし、裸体の男女に血のような液体や内蔵などを大量に浴びせかける「アクション」と呼ばれるパフォーマンスで知られています。
宗教的な「祝祭」「供犠」「生贄」を再解釈したアクションは、羊や雄牛の屍体から内臓を摘出しておびただしい血をぶちまける強烈な行為で、その場に立ち会う人間の精神や全ての感覚の留め金をゆさぶり、人間の本能の根底に訴えかけます。この光景は、わたしたち人間が豊穣を祈るとき/祝うときに繰り返してきたごく原始的な行為でもあります。ニッチのパフォーマンスは、キリスト教のシンボル性に基づく黒ミサ、悪魔払いの性質を再現すると同時に、実際の生活の中で私たちが直面することが極めて少ない、「自分の生存のために他の生命を奪う」という事実が隠蔽された現代社会にも疑問を投げかけています。
ニッチは現在まで世界各地でパフォーマンスを行い、世界の美術館やギャラリーで個展、グループ展を多数開催しています。今回山本現代では、”Poured Painting”シリーズと呼ばれる絵画作品、パフォーマンスの記録映像や写真、アクションで使われた立体を展示いたします。