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グループ展「Unfamiliar Landscape」

unfamiliar landscape

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山本現代では晩夏・2009年8月22日から9月12日まで、
グループ展「奇妙な風景」 [Unfamiliar Landscape]を開催いたします。

今回のグループ展は、わたくしどもと縁のある四人の作家―――立石大河亞/田中圭介/平川なつみ/松宮硝子―――が制作した、「奇妙な風景」のご紹介です。その奇妙さを見過ごされがちな日常のありふれた場所や人物、また奇妙な想像世界を収集したものです。

立石大河亞(たていし・たいがあ)は、60年代から活躍している巨匠で、すでに他界しておりますが、今なお瑞々しく感じる数々のペインティングや立体作品を数多く残しています。その作品はかねてより、様々なクリエイター及びアーティストに多大な影響を与えており、いまだ多くの新しいファンを獲得しています。
今回は未発表の小さなペインティングで、青緑色の不思議な風景を数点、ご紹介いたします。皆様がご存知の立石大河亞の大きな極彩色の作品とは趣が異なり、たいへん静かな面持ちの作品を集めました。

田中圭介(たなか・けいすけ)は、去年山本現代で個展をしたばかりの若手作家で、木彫を制作しています。巨大な彫刻から、建物を支える柱のような作品、またレリーフなど、古典的な木彫技術とその上にアクリルペイントで彩色を施す作品を制作する作家です。その彫刻は、自然の風景の一部を切り取ったような意匠ですが、よくみれば植林された均一な山や森であったり、小さな墓や観覧車、鳥居など、実は人工的な自然を、どこかユーモラスに彫り込んでいます。
今回はすべて新作で、木彫にアクリルペイントを施した、様々な小さな風景を発表いたします。

松宮硝子(まつみや・しょうこ)は、山本現代の白金移転時のグループ展「ドリーム・オブ・ザ・スカル」でご紹介した、ガラスで作品を制作する作家です。作品は、触れればどちらも傷つくような非常に繊細なガラスのトゲで構成されており、冷たいのにどこか有機的なガラスのインスタレーションを主に発表しています。
今回ご紹介するのは、美しい黴か粘菌、もしくは海洋生物のように、天井から床まで作品がそれぞれに手をのばし繋がっているようなインスタレーションになる予定です。

平川なつみ(ひらかわ・なつみ)もすべて新作で、素早いストロークで即興的に描いた、日本に散在する奇妙な風景や人々のペインティングです。平川なつみは「先が見えた」美大を中退した後、自宅で延々と制作を続けている作家で、その現実への眼差しは非常にクリティックで、わたしたちが普段見慣れた風景を奇妙なものにすり替えていきます。

「奇妙な風景」について

わたしたちはそれぞれ自分がいる「風景」のなかで、主体であると同時に常にそこにある風景の一部としても存在するので、普段はその(・・)奇妙さに気づかずに生活しています。長い時間そこにいるので、いつの間にか意味も漂白され目立たなく、風景の一部として馴染み、その存在感も取り立ててありません。派手でもなくひっそりと地味でもなく、当たり前に普通の顔でそこにあります。しかしひとたび目を向ければ、その風景は圧倒的な存在感を放ちはじめます。

たとえば、日本の風景。古くは『超現実トマソン』などがありますが、戦後しっかりとした都市計画もないまま復興した、特に東京はまさに「奇妙な風景」で満たされています。ひしめき合うバラバラなビルの意匠、そこを蛇行する首都高速道路。法規制と狭小地を理由に斜めの屋根を強要された、点在する建売り戸建ての列。もしくは、町内を徘徊する老人。歩道のない道を往来する子供たち、路上の若者たちや、通勤電車のサラリーマン、そして生活者としての、自分自身。

さらに見方を進めれば、東京のど真ん中・高級住宅街の麻布にある米軍基地。ふつうに見れば大きなマンションか会社のようにも見えますが、建物のファサードには日本とアメリカの国旗がはためき、建物入り口には「100% ID check」の看板が見えます。もちろんそこは治外法権で、陸続きの大都会の真中にいわば境界線が引かれ、国内外を分断します。その「奇妙な風景」に気づいたとき、わたしたちは敗戦国であることを思い出します。
すでに見慣れた風景ですが、一度気づくと、世界はたいへん奇妙です。

または、夢のなかにあるような想像世界や心象風景。わたしたちの脳内に、いつの間にかある風景です。シュールレアリスムを筆頭に、いままでも様々なアーティストたちは驚くような風景を生産してきました。それはたいへん奇妙でわたしたちの存在のように整合性を欠いており、魅力的なイメージです。わたしたちは奇妙な世界を幾らでも、それぞれの想像力でつくりあげることができますが、そのうち特に奇妙な風景を数多く描いてきた作家をご紹介いたします。
言うまでもなく世界の在り方はひとつではありませんが、この展覧会が異郷の視点を獲得する小さな端緒になれば幸いです。

 

 

 

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