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Artist:

森靖展「Can’t Help Falling in Love」

Osamu MORI

Osamu MORI

 

 

 

森靖は83年に愛知県に生まれ、2009年に東京藝術大学大学院の彫刻専攻を修了した新進気鋭の彫刻家です。2009年東京芸大にて開催された「彫刻 労働と不意打ち」展では、マリリン・モンローと河童が融合したような奇妙でエネルギーに溢れた木彫作品「Much ado about love – Kappa」を発表し、話題をさらいました。
初めての個展となる今展では、ギリシャ神話「レダと白鳥」より想を得た新作と、バニーガールをモチーフにした新たな大型作品を発表致します。

森靖の彫刻の魅力は、その躍動感に満ちた人物描写と、細部に到るまで徹底的に彫り出す驚異的な技術力にあります。隆々たる筋肉や骨、翻るスカーフ、膨れ上がったスカートの表現。そこには、繊細な襞の描写や鱗模様がこれでもかと彫り込まれており、どの角度からも観るものを惹き付けて止みません。
また、森の作品の特徴としてもう一つあげられるのが、完全に乾いていない木を素材に用いる事です。通常、木彫作品に使用される木というのは、極力歪みや割れの出ないよう十分に乾かされた木が用いられます。しかし森は、乾いていない木や、ウロのある木を好んで使います。乾いていない木は乾燥する際に大きく割れが走る事がありますが、森は彫り進める最中で素材の癖を体得し、割れが走って欲しい部分が割れるよう鑿を入れ、その割れを作品に取り込んでいきます。ウロについても、同じように取り込まれ、乳首や鎖骨のくぼみといったチャームポイントに変貌を遂げます。驚くべき事に、森の場合、彫刻制作にはいっさいのドローイングやスケッチの準備なく取りかかり、形態を大幅に変えたい場合はその場の判断で木を接いでいきます。森は、思いつきやアドリブで作品が変容していく緊張感が必要であると考えています。

様々な妄想に彩られた新作「レダと白鳥」では、白鳥に絡めとられたレダが舌を出し微笑んで、ピンナップガールのような媚態を見せています。彼女の胸には乳房が3つ揺れ、その腹部はまるでこぶのように奇妙に膨れています。作家によれば3つの乳房は男性の欲望を具現化しており、レダはゼウスの子を孕んでいるのだそうです。
また、この「レダ」は往年のアイドル「ベティ・ペイジ」をモデルにしています。

森が女性像のモデルに「マリリン・モンロー」や「ベティ・ペイジ」を用いるのは、単なるアイコンとしてではなく、直接的にリビドーを燃え立たせるような存在であるためです。霊感を与えるファム・ファタルへの熱情と「彫刻」に対する作家の激情が今展のタイトルに込められています。
森の作品が孕む熱や匂いは、電子化された現代社会に生きる我々に、肉体を持つ喜びをまざまざと思い起こさせてくれるでしょう。

 

 

 

Osamu MORI

 

 

 

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