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ナイル・ケティング 展「ホイッスラー」

Nile KOETTING
©Nile KOETTING

 

 

 

ナイル・ケティング 展「ホイッスラー」

 

2016年4月16日(土)〜5月14日(土)
開廊時間:11:00 – 19:00(日曜・月曜・祝日休廊)
オープニングレセプション:2016年4月16日(土) 18:00 – 20:00
パフォーマンス「First, Class」:2016年4月16日(土) 19:00 –

 

わたくしども山本現代では、来る2016年4月16日(土)から5月14日(土)まで、ナイル・ケティング個展『ホイッスラー』を開催いたしますのでご案内申し上げます。

 

ナイル・ケティングは今月森美術館で開催される『六本木クロッシング2016:僕の身体、あなたの声』やドイツZKMで開催中のグループ展『GLOBAL-New Sensorium: Exiting from Failures of Modernization』に参加するなど、今最も注目を集めている若手作家です。ケティングは、イタリアの哲学者マリオ・ペルニオーラが提唱する「感覚するモノとしての人間」という新しい概念を軸に、神への畏怖、宗教などと共に発展してきた芸術を根底から見つめ直し、今日の社会を見据えて活動を続けています。また「無機的なもの」と「身体」を水平に見る視点から、映像、インスタレーション、サウンドアート、パフォーマンスなどの領域を縦横無尽に渡り、精力的に制作しています。

 

今展では「環境」をキーワードに、自然、歴史、そして社会との関係性を問い直します。エネルギーと人間、そして自然の境が「人工的なもの」を通して崩れていくかのような作品と場を提示し、私たちに新たな問いをもたらします。今展のタイトル『ホイッスラー』とは、雷放電によって観測される電磁波が超長波(VLF)として観測される現象「ホイスラー波」から名付けられました。この波動は地球の磁界に沿って地球の裏側にまで伝播し共鳴する空気の震えです。超低周波であるため、通常は人間の耳で知覚することはできませんが、VLFレシーバーによって変換され、ホイッスルのような音として私たちにも聞こえるようになります。知覚されないものが「人工的なもの」を通して知覚されるようになる、見えないものも知覚されないだけで実は存在している、というケティングの隠喩がこのタイトルに込められています。

 

今回の会場にはVLFレシーバーによってとらえられた地球の超低周波が流れ、リキッドクリスタルを用いた新作『Substorm』、バイオエネルギー、プラズマを用いた音響作品、バイオエネルギーの素材の象徴としての竹などが、インスタレーションというよりはむしろランドスケープとして、会場に置かれます。これらのエネルギー、振動、鉱物、植物、そして私たちの身体が、地球や宇宙といった大きな循環の中で、束の間の形を保ったモノであることを、この展示が示唆します。

 

自然とエネルギーと人間社会を考えるある種の物語としてケティングが興味を持ったのは、20世紀の科学者、ヘンリー・モレー(1892-1974年)です。当時、モレーが自身の発明品としてデモンストレーションしていたのは、何の変哲もない空間からエネルギーを取り出し電球を灯す “モレー・マシン”でした。大気中のエネルギーを電気に変えることができるというフリーエネルギーの思想に傾倒していたモレーのそのマシンは、“スウェーデンの石”と彼が呼んだ謎の物質を介して電球を発光させるもので、真偽も定かでなく、フリーエネルギーが仮に確立した場合のエネルギー利権に関連した陰謀説などもささやかれました。今展では、 “モレー・マシン”へのオマージュ的新作『Zero-point』も発表されます。また、展覧会初日にはベルリンのHebbel am Ufer劇場にて発表された『First, Class』と題したパフォーマンスを行います。このパフォーマンスは、映像、音響と身体の水平線上の関係性を通し、バケーションという文化における経済、政治システムの循環とアイコンの関係、 “享楽”や “バイタリティ”が資本主義社会の基盤を覆っている様を、脱コンテクスト化していく大変興味深いものです。

 
 
このようにケティングは、人間と世界との関係を考察する全く新しい潮流を感じさせる希有な作家であると私たちは考えておりますので、ぜひご高覧いただきたく存じます。皆様のお越しをお待ちしております。

 

 

 

Nile KOETTING

 

 

 

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