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エドガー・マーティンズ展 「The Time Machine」

Edgar MARTINS

Edgar MARTINS

 

 

 

山本現代では、2011年11月19日から12月17日まで、エドガー・マーティンズ 個展「The Time Machine: An Incomplete and Semi-Objective Survey of Hydropower Stations」を開催する運びとなりましたことをご案内申し上げます。

写真家エドガー・マーティンズは、1977年ポルトガルに生まれ、19歳までマカオで育ちました。2002年に英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業し、現在はイギリスを拠点に活動しています。
昨年秋にはカルースト・グルベンキアン財団(パリ)において大規模な個展を開催し、大きな注目を集めました。また、本年の第54回ヴェネツィア・ビエンナーレではマカオ代表のひとりに選出されるなど、着実に活動の舞台を広げています。

アジアでは初めてとなる今回の個展では、ポルトガル国内の複数の水力発電所において撮影された最新シリーズ「The Time Machine: An Incomplete & Semi-Objective Survey of Hydropower Station」を発表いたします。
ポルトガルが急速な経済成長と社会構造の転換期を迎え、未来への明るい展望に沸いた時代、1950年代から1970年代にかけて相次いで建設されたこれらの水力発電所は、かつて200人以上の職員により管理されていた巨大装置でありながら、コンピューターで遠隔操作が行われるようになった現在ではほぼ無人で運転を続けています。管理システムに接続された機械が延々と並び、人間の気配の感じられない大空間を自若に捉えたこれらの作品には、われわれ人間がかつて描いたモダニティの奇妙な残骸が浮かび上がります。

本シリーズに限らず、近年のマーティンズの作品には、被写体に対する一貫して冷静な視線のもとで綿密に計画されたライティングと高い撮影技術が駆使されており、実在する場所の記録としてありながら、現実とフィクションのはざまのような世界が見え隠れしています。
1970年代、ニュー・トポグラフィックスの写真家たちは、近代写真史に脈々と続く社会のドキュメントの手段としての「写真」を受け継ぎながら、主観や感情的な背景、ナラティブな要素を徹底的に排除し、ニュートラルな視線で淡々と時代のランドスケープを切り取り続けました。彼らの科学的ともいえる姿勢を踏襲しながら、マーティンズはときにそこに作為的な効果を取り入れるのを否定しません。
作品のほとんどはデジタル処理を行わずに制作されるものの、たとえば前シリーズ「A Metaphysical Survey of British Dwellings」での照明投射距離と露光の加減による暗く沈んだ背景、本シリーズにおける巧みに調整されたシンメトリー、不自然なほどまでに追求された整然さは、被写体の存在する場所や時間を越えたものを感じさせながら、ありのままの姿以上にそれらの性質を暴きだしています。

今回の個展では、最新作「The Time Machine」とあわせ、2009年発表「Reluctant Monoliths」シリーズからも数点、展示を予定しています。

ヨーロッパを中心に世界的に注目を集め始めたエドガー・マーティンズの作品を、日本で初めてまとまった形でご覧頂けるこの機会に、どうぞご期待ください。

制作協力:EDP財団(ポルトガル)

 

 

 

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