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Artist:

原真一展「トロリ」

Shinichi HARA

 

 

 

原真一展「トロリ」

2014年8月23日(土)~9月20日(土)

オープニングレセプション:2014年8月23日(土) 18:00 – 20:00

わたくしども山本現代では、来る2014年8月23日から9月20日まで、原真一 「トロリ」を開催いたします。

1964年生まれ、茨城県出身の原真一は東京藝術大学で彫刻を学び、主に白い大理石を用いた石彫作品を制作しています。1999年キリンアートアワードで賞を受賞後、いくつかのグループ展に参加し、その後も精力的に活動してきました。
「六本木クロッシング —未来への脈動」(2007年/森美術館、東京)では無数の耳がざわざわと蠢き、少女の一部が溶け出し周囲と融合していく巨大な石彫作品《ホワイトサマー お耳のチャ・チャ・チャ》、を発表し、大きな話題となりました。「Subjective Objects」(2011年/山本現代、東京)では鳥を咥えているようにも、エクトプラズムを吐き出しているようにも見える、妖しく美しい綿帽子の花嫁を彫刻し、圧倒的な存在感を見せ、評判を得ました。
また「原真一展 —拾いもの—」(2011年/美術画廊X、東京)では「排除されたものや無視され続けたものに内包する概念を反映し再生する」として、ブロンズやコラージュ、ドローイングなどの作品を発表し新たな展開を見せるなど、精力的に作品制作を続けています。
山本現代ではグループ展やアートフェアにて原作品をご紹介していましたが、今回満を持しての初個展となります。

本展タイトル「トロリ」はその言葉の通り、溶けている様は、岸田劉生が提唱した「デロリ」※から着想を得ています。『「デロリ」からアクを抜いた』と作家が言うように、原の作品は雪に覆われた大地にように一見静謐で美しい佇まいをみせています。しかし、よく見ると手や耳、歯と歯茎などの体一部や、亡霊のように佇む髪の長い女性など、奇異の世界に迷い込んだような静的な恐怖を感じさせます。
新作《あやとり》(2014)は、ゴツゴツの岩肌と、ツルツルに磨かれ美しいマーブルを露にした側面を持つ大きな石の内側が白魚のような指と紐が絡まり、溶け合った形をしています。電子ゲームの出現により、古き良き日本の遊びがだんだんとなくなって行く様子を、溶けるという進行形で捉えています。
東北の雪景色を表した《春の雪》(2014)は、その中心が高熱によって徐々に溶け落ちたかのごとく、穴が空いています。これは私たちが見ることは出来ない(仮に見るとすると自分の体まで溶け崩れてしまう)炉心溶融を連想させます。また改めて一歩引いて全体に目をやると、大きな長方形の上に緩やかに掛けられた日本の国旗〈日の丸〉を象っていることがわかります。どちらの作品も妖艶で滑らかな作品ですが、現代の電力依存をアイロニカルに表しています。

溶解によりある個体が別のものへ変容する過程の状態を独特の質感を持って彫り続ける原真一作品を、この機会に是非ご覧ください。

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※デロリ:岸田劉生が指摘した、日本美術の異端ともいえる表現。岸田いわく「氣味惡い程生きものの感じを持つた、東洋人獨特のぬるりとした顏の描寫」や「へんにねちつこく、色も濃く、一見下品」であるのが特徴。へ変容する過程の状態を独特の質感を持って彫り続ける原真一作品を、この機会に是非ご覧ください。

 

 

 

Shinichi HARA

 

 

 

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