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Artist:

榎忠展「LSDF-014」

Chu ENOKI

 

 

 

山本現代10周年ANNIVERSARY!!!

榎忠展「LSDF-014」

2014年10月4日(土)~11月22日(土)
※好評につき会期を延長いたしました。

オープニングレセプション:2014年10月4日(土) 18:00 – 20:00

わたくしども山本現代では、開廊10周年を記念し、来る2014年10月4日から11月1日まで、榎忠 「LSDF-014」を開催いたしますのでご案内申し上げます。

活動歴40年を優に超える榎ですが、本展は東京で開催する初めての個展となります。今回の展覧会は、私共山本現代の開廊10周年記念の展覧会で、榎忠の過去最大サイズの大砲と、原点となる初期の大砲を、一同に展示します。またオープニングレセプションに併せて、展示作品を実際に使って祝砲パフォーマンスを行います。

1944年に香川県に生まれた榎忠(えのき・ちゅう、通称・エノチュウ)は神戸を拠点に活動を続けてきました。20代から独学で油画を描き始め、その後「ハプニンググループZERO」で非日常的ハプニングを中心とした表現活動を6年間展開した後、自らの制作活動に没頭していきます。
1977年には自身の右半身のすべての体毛—頭髪、髭などすべてを剃り当時社会主義国であったハンガリーに旅行に行くパフォーマンス「ハンガリー国にハンガリ(半刈り)で行く」を発表しました。また、榎忠はこの後4年間、半刈りの姿の状態で会社員生活を続けたのです。この頃から榎忠の表現は一貫して自身の日常生活に力点を置くものになりました。
半刈りパフォーマンスについて榎忠は次のように語っています。
「生の、生きてる人間を見せたかった。作品にするためじゃなくて、生きるためにやってるの。」<2011年、出典:『榎忠展 美術館を野生化する(兵庫県立美術館)』カタログより>

一般の金属加工会社で旋盤工の会社員として定年まで勤めあげた彼の視線は、常に等身大の制作活動の礎であり続けました。
1979年「アート・ナウ’79」にて榎忠は、兵庫県立近代美術館の屋外に全長8mの大砲を展示しました。作品とともに掲げられた「わが家の防衛対策は“一家に一台大砲を”」というメッセージは、権力や体制に真っ向から対立することではなく、自らを取り巻く多様な問題に向けるべき強いまなざしを表し、当時の美術界を圧倒しました。
また、大砲に刷り込まれたLSDF(Life Self Defense Force)=「自分の生活は自分でまもる」とは、榎忠の人生を貫く信念であり、それを初めて記した作品でした。
以降榎は、日常の目には見えぬ脅威を題材に作品を展開し、 80年代に入ると総重量25tの巨大機械彫刻「スペースロブスター」や、「原子爆弾Little Boy U235/Fat Man Pu239」を、90年代には百万発の使用済薬莢を展示。00年代には大量の銃を鋳造した作品「AK-47/AR-15」や、ボルトなどの工業部品をひとつひとつ辛抱強く積み上げて構成した見事な作品「RPM-1200」を発表。その合間をぬって時折出現するローズ・バーなど、ハードコアかと思えば精密で繊細さに満ちた、全法的な作品の発表を続けています。
榎忠の鋭敏な感受性が反映された禍々しくも美しいこれらの作品は、その肢体の美しさだけをただ正視する楽観も許さず、圧倒的な迫力で観るものの思考を揺さぶり続けています。

今まで榎忠は、住み慣れた神戸を含む関西以外で作品を発表することに、あまり必要性を感じていませんでした。それはあくまで日常生活の延長上で制作を続ける彼のスタイル故に、極自然なことでもありました。
しかし、昨今の特定秘密保護法案や、集団的自衛権行使容認の閣議決定、武器輸出三原則の見直しなど、日本政府の動向に対する危機感が、今回の個展へと榎忠を突き動かしました。
長年にわたり銃や大砲など武器をモチーフとしてきた作家にとって避けては通れない、使命感にも似た感情とともに、今回の個展に臨みます。今まで制作したどの作品よりも大きく凶暴な大砲で、東京を、政府を、世の中を問うと榎忠は言います。
今年で古希を迎えたとは到底感じさせない、迫力ある大作をこの機会に是非ご覧ください。

 

 

 

Chu ENOKI

 

 

 

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