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東恩納裕一展「シャンデリア!」
東恩納裕一は、ペインティング、映像、インスタレーションなど、形式を問わず様々なメディウムを駆使し、「視覚」に訴えかけるような作品を制作している作家です。
「視覚」の原理的な機能を逆手にとり、モアレやオプティカル効果を使い光と影を反転させるような作品が多くありますが、
その背後のコンセプトには、戦後日本が生み出してきた「ファンシー」な文化の様式や要素を抽出するという試みが常になされております。
今回の東恩納裕一「シャンデリア!」は、彼の蛍光灯のシリーズに焦点をあて、皆様を現代日本の「光源」に誘います。真っ白でフラットな光を放つ蛍光灯は、戦後から日本の一般家庭を、
いわばわたしたちの日常生活を、現在にいたるまで照らし続けてまいりました。「高度成長」や「一億総中流」を表す蛍光灯のまばゆい「光」が、
現代のシャンデリアとして豪華で象徴的な輝きを放ちます。
この真っ白で冷たい光は、部屋の隅々までを照らし出し、なんの演劇的効果も介入させず過剰なまでにフラットに、「空間」をあらわにします。
本展でご紹介するのは、サークル型の蛍光灯で構成された巨大な球体の作品「untitled (naked ball)」、
直管型サークル型の蛍光灯で構成されたシャンデリア「untitled (chandelier)」のシリーズ、そして待望の新作です。
ギャラリースペース以外の空間—工場跡の風情を残す無機質な空間(同ビル:階段踊り場)—にも、東恩納裕一のインスタレーションが拡張してゆく予定です。