Artist:立石大河亞
立石大河亞展
山本現代にて、2012年5月26日から6月23日まで、立石大河亞個展を開催いたします。
立石大河亞は1963年の読売アンデパンダン展でデビュー後、中村宏氏と「観光芸術研究所」を設立。反芸術運動の時代の中、路上に出てもなおタブロー(絵画)にこだわり、注目を集めました。
1965年から漫画を書き始め、1967年に「毎日中学生新聞」で『コンニャロ商会』というナンセンス超前衛漫画を連載(後に赤塚不二夫作品のネコに化けて登場)、また「週刊朝日」にてマンガ新人賞佳作受賞し、他誌にも連載が始まります。1968年には漫画集を二冊出版、プロとして成り立つようになりますが、だんだん収入が増大し売れっ子になりそうな危機感を感じ、この頃から海外移住を考え始めます。
1969年に、「優れた絵画作品はすべて一コマ漫画である」という思いのもと、ストーリー性や時間的要素を取り入れ、画面を分割した新絵画を開発します。その後同年にイタリアに渡り、1971年から1974年までオリベッティ社のデザイナーとして活躍、アーティスト活動の傍ら、モンダドーリ社、リッツオーリ社、ファブリ社など伊大手出版社のイラストも手がけます。編集長よりイラスト会社を立ち上げることを勧められ、ここでもまた成功への予感から自己危機を感じ、一時帰国しました。
その後1982年に帰国後、絵画制作と両立し再び漫画を描き始めます。絵本、セラミック、巻物、掛け軸、絵画と様々な作品を制作し、1998年に鬼籍にはいるまで媒体を問わず精力的に活動しました。非常にユニークな作品は現在でも私たちの眼に新鮮に映り、年代を重ねたものとは思えない発見があります。また漫画とは言え、ほとんど文字に頼らないサイレント漫画のため、どの言語話者でも差がなく絵そのものの展開からわかるようになっています。
2011年は横浜トリエンナーレに、2012年はMOMA(ニューヨーク近代美術館)にて開催される展覧会に出品するなど、没後もなお活躍は止まることを知りません。
今展では、大河亞を語る上で外すことのできない漫画 — 1982年に出版された「虎の巻」の貴重な原画全98枚を展示致します。「コミックのひとつの表現として、SF世界へのひとつの提示として、またぼくの絵画活動の主張として、『虎の巻』はすくなからぬ意味をもつと自負しています」と作家が言うように、漫画の枠を超えた超多次スペクタクルを、この機会に是非ご覧ください。
また漫画的なコマ割りが豊かな、大きな油絵3点も同時に展示いたします。