Artist:コンタクト・ゴンゾ
contact Gonzo 展
「様々な困難を伴う作業の痕跡と音」
contact Gonzo展「様々な困難を伴う作業の痕跡と音」
2014年4月18日(金)~5月17日(土)
!!!オープニングレセプション&パフォーマンス!!!
2014年4月17日(木)18:30~20:30
*今回は会期の一日前の夜に行います。
白金アートコンプレックス合同オープニングではありませんのでご注意ください。
来る2014年4月18日から5月17日まで、contact Gonzo 『様々な困難を伴う作業の痕跡と音』 を開催いたします。
contact Gonzo(コンタクトゴンゾ)とは、2006年に垣尾優と塚原悠也が開発・命名したメソッド及びユニットの名称で、人と人との間に起こる「接触」という物理現象に起因する様々な瞬間的事象をとおし、「痛みの哲学、接触の技法」をキーワードに、自らにとっての「世界の仕組み」を紐解こうとする方法論を指しています。この「gonzo」という単語は1970年代に展開された「ゴンゾ・ジャーナリズム」というムーブメントからきており、「めちゃくちゃな」というスラングらしきこの単語を用いたジャーナリズムの手法は、従来の「客観的」だとされていたものとは正反対の「主観的な」判断で取材が進み対象すらもあやふやになるという、ジャーナリズムの「領域」を内側から喜々として破壊するようなものと捉えた彼らは、その活動の名称にこの単語を援用しています。
コンタクト・インプロヴィゼーション(複数人が互いに体重を預け合う形で展開する即興の身体表現)とも、格闘技ともダンスともつかない動き、身体を基軸に行われる彼らの表現スタイルは、「接触」という物理現象が表現の主な要素のため場所や環境に制限されることなく、近年では活動の場を大きく広げています。韓国、中国、フィンランド、シンガポールをはじめ近年では海外での活動も多く、また『六本木クロッシング2010:芸術は可能か?』をきっかけに、2013年にはニューヨーク近代美術館でもパフォーマンスを行いました。一見するとただの殴り合いのようで、しかし時に洗練されたダンスのような動きも垣間見え、優美でさえある特異な彼らのパフォーマンスの模様は、「YouTube」などのメディアを使って即時的に発表されています。
今回の『様々な困難を伴う作業の痕跡と音』では、人と人との間の接触にとどまらず、メンバー各々の身体と、「困難」な状況との関係がテーマになっています:
まず、関西のゴンゾ事務所の解体と制作の過程で出た廃材を使用し、会場構成を行うことから始まります。その後、段ボールを身に纏い、自分たちのポートレートを背負った彼らは、時速100キロを記録するスピードでフルーツを投げつけられるという半ば狂気の「攻撃」に合いながら、ギャラリーの入り口からその廃材によって構成された空間のなかを、壁をたどり地に足をつけず移動します。彼らの「クライミング」の最終的な目的は自分たちのポートレートを所定の場所に展示することにありますが、このいわば無駄に自らに強いる苦行ともいえるインスタレーションの過程=アンダー・インスタレーション中に起こることを記録し、移動と作業の痕跡と共に公開します。
まるでギャラリー空間が戦場であるかのごとく、あたかも爆撃を避けながら荒れ地の中に潜む地雷を踏まぬよう宙を渡り、身体に直接かかり続けている重力という圧力に拮抗しながら、その行動目的を達成しようとする一連の作業全体の記録が、最終的な「作品」として提示される、入れ籠のような構造をもっています。
しかしこの容赦ない「戦場」のような状況はそもそも彼らが自分自身で仕掛けたものであり、その状況に自らを投じ困難な作業を強いるという自己完結型マゾヒズムともいえる構成は、状況と身体の関係性だけを表象するのではなく、いわば自分自身とのコンタクトであると言えます。
最終的になにが残るかわからない、困難な状況下の作業をとおして身体が可能にする極限の移動の「痕跡」と、同時収録された「音」の展示は、わたくしどもにとってもたいへんスリリングな試みですが、即興性に留まらず、それをいかにギャラリー内でインスタレーションとして成立させるかという挑戦とその情熱を、アーティストやご来場いただく皆様と共にできますことを、たいへん嬉しく考えております。皆様お誘い合わせの上、ぜひご高覧ください。
<conract Gonzo>
2006年結成。contact Gonzoとは、集団の、そして方法論の名称、つまりローファイなスパークである。肉体の衝突を起点とする独自の牧歌的崇高論を構築し、パフォーマンス作品や、映像、写真作品を制作。
その背後には山がある。現在、事務所を自分たちで作りながら、そのスペースで時速百キロで飛ぶ果物を受ける肉体を観察したり、耳を澄ましたりしている。メンバーは個々においてもそれぞれの分野で作品を発表、もしくは料理や読書等をしている。セゾン文化財団助成対象アーティスト。
http://contactgonzo.blogspot.jp