Previous Exhibition.gif

Artist:

グループ展「未来の体温 after AZUMAYA」

temperature

グループ展「未来の体温 after AZUMAYA」

 

 

 

この度、白金アートコンプレックス2F ARATANIURANOと3F山本現代におきまして、10月5日(土)から11月2日(土)まで、合同グループ展「未来の体温 after AZUMAYA」を開催する運びとなりました。本展は、昨年鬼籍に入られたキュレーター東谷隆司氏を偲び、かねてから親交の深かった美術批評家の椹木野衣氏にキュレーションを依頼し、5名のアーティストを選出、構成した展覧会です。
東谷隆司氏は1999年に世田谷美術館にて「時代の体温」という日本の美術史に残る展覧会を企画しました。そして、横浜トリエンナーレ、東京オペラシティアートギャラリー、森美術館といった首都圏の現代美術の中心となる施設の立ち上げに関わった後に独立。「ガンダム 来たるべき未来のために」(サントリーミュージアム天保山ほか巡回、2005-2007年)などを手がけました。複数のキュレーターのうちの一人として参加した「釜山ビエンナーレ2008」では実力を認められ、2010年の同ビエンナーレでは総合コミッショナーを務めるなど国内外での活躍を期待されておりました。
また、キュレーターとしてだけでなく、執筆家・音楽家・アーティスト・パフォーマーでもあり、多彩な才能を持つ希有な存在でした。
東谷氏の見据えた未来を思い、今を生きている私たちはどのような未来を作っていくのか。時代の体温を感じながら表現を続けるアーティストたちを通じて、そのことを考えるきっかけとなりましたら幸いです。
つきましては、是非本展をご高覧頂きますよう、皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。

ARATANIURANO
山本現代

キュレーター|椹木野衣
出品作家|赤城修司・竹内公太・高橋大輔・吉村大星・東谷隆司
協力 |HARMAS GALLERY, SNOW Contemporary

パフォーマンス|
2013年10月16日(水) 19:00開場・19:30開演、 入場料: 1000円(1ドリンク付き)
白金アートコンプレックス3F 山本現代にて
山川冬樹による、東谷隆司の遺作「DIE IN」を用いた死者との「合奏/饗宴/共演」

DOMMUNE配信|
2013年10月9日(水)21:00~
出演:椹木野衣・矢野優、山川冬樹
http://www.dommune.com/


|本展によせて| 

椹木 野衣 Noi SAWARAGI
何年、何十年、何百年先になるかわからないけど、原発が撤廃された時代の人々に知ってもらいたいこと。「原発がある時代にも、それに反対する人々は数多くいました」。少ない文字数ですが、このメッセージを書いている人間、転送している人々は、その意思を表明していた人たちです。

東谷隆司 ‏@AxZxMxYx on twitter 2011年4月11日

本展は、昨年の10月16日、はからずも自死に至ったインディペンデント・キュレーター、東谷隆司(以下、東谷と敬称略)に捧げる企画である。私と故人との最初の出会いは、東谷が東京芸大在学中に学内で開かれた特別講義終了後、熱っぽい表情で挑むように質問にやってきたことに始まる。私が最初の著作『シミュレーショニズム』を出す前であったから、まだ1990年のことだ。以来、東谷とのつきあいは紆余曲折を経ながら20年以上にわたった。私がかつて大森に所在したレントゲン藝術研究所で日本の美術界に向けた具体的な活動を始めたとき、彼の顔はすでにそこにあった。1999年という世紀の節目を控えた年に、水戸芸術館で「日本ゼロ年」展を開いたときも、設置の段階からたびたび彼は会場を訪れていた。その後、当時、大阪のアートの拠点であったキリンプラザ大阪では、大竹伸朗「ダブ景」展を初め、いくつもの展覧会を共同で開催した。2003年3月にイラク戦争が始まったときに始めた反戦デモ・ユニット「殺す・な」には、毎回黒い一弦ギターと革ジャンで豪雨のなかでも参集してくれた。狭いカラオケボックスで、何度朝まで飲み、歌い明かしたことだろう。僕にとって東谷は友であり同志であり、そして弟のような存在でもあった。
そんな東谷は、もうこの世界のどこにもいない。草の根を分けて探しても、二度とその姿を見ることはない。しかしだからこそ、この展覧会のキュレーションを受けてみようと強く思った。

本展は、東谷が生前に交流の篤かった作家を集めたものでも、彼の考えを斟酌し、できるだけ忠実に展覧会として再構成したものでもない。そんなことは不可能だ。そうではなく、東谷があの震災と原発事故の直後に「未来」の人たちに向けてツイッターに残した短い一文をひとつの導入として、私自身がまったく新たに作家の人選をし、立ち上げたものだ。その際、故人が最初にキュレーションを手掛けた展覧会「時代の体温」(世田谷美術館、1999年)にならって(=after①)、本展を「未来の体温」と名付けた。東谷のいなくなった世界(=after②)から、私たちが未来へと向かう「時代の体温」をもういちど計ってみようと考えたからだ。また「未来」の一語には、東谷の仕事を代表するもうひとつの展覧会「GUNDAM ―来たるべき未来のために―」(サントリーミュージアムほか、2005年)も掛けている。
東谷は自身のことをインディペンデント・キュレーターと名乗ることを好んだ。日本では馴染みの薄い響きだが、東谷にとって、語の力点は「キュレーター」ではなく「インディペンデント」であることに置かれていたはずだ。インディペンデントとは、「自らを頼る」野良の精神に通じている。実際、東谷は「野良のキュレーター」だった。組織に殉ずることをせず、分け隔てすることなく人と接し、ブルースメンのように時と場所を移動し、その果てに姿を消した。
その東谷を、もう一度私たちの「未来」に向けて胚胎させてみよう。私たちひとりひとりの脳髄のなかで、もう一度まっさらな胎児となり、いつかふたたび血まみれで再誕してくるのを待とう。その最初の兆しを捉えるのが、本展のねらいである。 (2013年8月23日・記)


|作家概要| 

temperature
赤城修司 Shuji Akagi
1967年福島県生まれ。1989年 筑波大学芸術専門学群洋画コース卒業。
1994-1996年 青年海外協力隊員で美術教師としてブルガリアに派遣。2005-2008年 福島民友新聞に育児4コマ漫画「トホホ育児日記」を連載。
現在、福島県の高等学校美術教員を勤めながら、2011より原発事故後の福島市の様子の撮影を続ける。

 

temperature
高橋大輔 Daisuke Takahashi
1980年埼玉県生まれ。2005年 東京造形大学絵画科卒業。主な個展:2013年「絵の絵の絵の絵」 HARMAS GALLERY(東京)、主なグループ展:2012年「consonances」TIME&STYLE midtown(東京)

 

temperature
竹内公太 Kota Takeuchi
1982 年兵庫県生まれ。2008年東京芸術大学先端芸術表現科卒業。近年の展覧会に「ソーシャルダイブ 探検する想像」(3331Arts Chiyoda、2011年)、2011年8月に物議を醸した「指差し作業員」の映像を展示作品とした「公然の秘密」(SNOW Contemporary、2012年)など。現在福島県いわき市周辺にてメディアと記憶の関係を主題に産業遺産等を取材している。

 

temperature
吉村大星 Taisei Yoshimura
1992年生まれ。山口市美術展覧会大賞受賞。野良猫をモチーフに、主に色鉛筆を用いて制作する。主な展示に「それが由来するイメージの起源」(画廊Door、岩国、2012年)など。

 

東谷隆司 Takashi Azumaya
1968年生まれ。現代美術キュレーター。世田谷美術館、森美術館等を経てインディペンデント・キュレーターとして活躍。主な展覧会に「時代の体温 ART/ DOMESTIC」(99)、「オプ・トランス!」(01、椹木野衣との共同キュレーション)「GUNDAM 来たるべき未来のために」(05-07)、「釜山ビエンナーレ2010 Living in Evolution」など、話題性の高い展覧会のキュレーションを担当。

 

 

 

temperature

 

 

 

temperature

 

 

 

temperature

 

 

 

temperature

 

 

 

temperature

 

 

 

temperature

 

 

 

temperature

 

 

 

temperature

 

 

 

temperature